『RONIN』達が浪人する理由〔ワケ〕

明日なき浪人生たちには、常に暗い影が付きまとう
世間ではほがらかな春の日差しが冬眠していた小動物たちを起こしている頃、一方では明日なき浪人生たちがぞくぞくとある予備校に入学してきた。その中には四十過ぎてもまだどこの大学にも受からない、デ・ニーロの姿もあった。「もう大学なんか諦めて、どこかに就職しなさい。学歴なんて関係なくなってきてるんだから」という親の遺言もなんのその。彼にはプライドがあった。
予備校初日の授業でデ・ニーロは、生意気な若造浪人生と出会う。三十は超えているが、自分にはまだまだ未来があると思い込んでいる、見るからに性格の悪そうなショーンだ。女性のディアドラ先生の講義に、わからないところを一生懸命に質問するデ・ニーロに向かって、ショーンは「だからさっき言っただろ」「お前の出身校はバカばっかりだ」などと嫌味たっぷりにまくしたてる。しかし、世間体など気にするには歳を取りすぎたベテラン浪人生デ・ニーロ。そんな皮肉にはびくともしない。そもそも、ショーンはいまだ大検にも受かっていない青二才。自分には高卒という輝かしい経歴があるのだ。
そんな先行きの不安な予備校生活がまたもやスタートしたわけだが、頼りになる友人もできた。デ・ニーロより少し年下のレノだ。二人は互いに知識を補い合い、浪人生活は順調に進んでいった。
 
予備校の初授業で、デ・ニーロはイジメッ子のショーンと出会う
ある日、予備校で生徒全員を対象にした、全国模試が行われた。見落としがないか慎重に試験を見直すデ・ニーロとレノ。そんな中、余裕しゃくしゃくのショーンは早く試験を終えて遊びに行きたい気持ちでいっぱいだ。
模試の結果が発表された日、デ・ニーロとレノはからくも大学合格率ランク「D」判定(合格率5〜20%)をマークした。突然、教室で泣きわめく一人の生徒が、静寂をかき乱す。あの若造ショーンだ。彼はもう十年以上大学を目指しているというのに、今回も最低の「E」判定(合格率5%以下)をくらっていた。余りの自分のふがいなさに、ショーンはついに嘔吐した。
これ以上大学を目指しても意味がない。ディアドラ先生はショーンのためを思い、予備校を辞め、働き口を見つけるようアドバイスした。残りの授業料は返還された。
 
模試の出来が悪く、取り乱すショーン。
ついに吐いてしまう。ウゲェ!!

「アンタには無理よ。退学なさい」
12月。デ・ニーロたちはクリスマスの日にも勉強に励んでいた。浪人生たちにクリスマスなどない。大学に受かったときがクリスマスなのだ。
しかし、それだけではストレスも溜まるというもの。デ・ニーロは予備校のある人物に非常に恋焦がれていた。深夜、デ・ニーロはその人物を車に呼び出し、静かに密会を楽しんでいた。そこに現れたのは、そう、予備校の女教師ディアドラ先生だ。助手席に座ったディアドラ先生にデ・ニーロが尋ねる。
「なぜ、この仕事を?」
「昔、裏切られたからよ」
「オレと同じだな」
自分のオツムの悪さを棚に上げるデ・ニーロにもディアドラ先生は優しかった。二人は大学入学後の夢を語り合い、その関係は急速に深まっていった。
 
デ・ニーロは憧れのディアドラ先生をデートに誘い、予備校ブギ気分!
1月。ついに追い込みの時期がやって来た。歴史の成績が思うように伸び悩んでいたデ・ニーロは教室で集中講義を受けていた。
眼鏡に顎鬚の歴史教師はデ・ニーロ相手に偉そうに講義を進める。
「君主に捨てられた日本の浪人は……」
だが、画面に映し出された浪人の模型は、どう見ても赤い甲冑(かっちゅう)を着た戦国時代の武将だった。
(オイ! 坂本龍馬がそんな甲冑着るかよ!)
観客達は、そんな三流予備校に入学したデ・ニーロを心配しながらも、ついに受験は大詰めを迎える。
 
「日本の浪人は…」のバカ教師
人々が溢れかえる合格発表の日、結果を知ったデ・ニーロがディアドラ先生の車に走り寄った。
「ダメだ……落ちた……」
ディアドラ先生はあきれ返り、何も言わずに車でデ・ニーロのそばから走り去った。
デ・ニーロは失恋した。愛する女性と大学の両方から。
合格発表の日から数日後、デ・ニーロは喫茶店でコーヒーを飲みながら、同じくまたもや大学受験に失敗したレノとともに、将来について語り合うのだった。
 
「また落ちちゃった…」
「アンタどこまでバカなの!?」

感動のラストシーン。「また来年があるさ…」
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