『ゾンビ』伝説の芸人“ピーター&ロジャー”

時代の籠児として世紀末を駆け抜けたお笑いコンビ、 ピーター(左)とロジャー(右)
近未来、地球に近づいた謎の彗星が大爆発を起こし、特殊な宇宙線が降り注いだ結果、死者が甦るという奇怪な現象が発生。地上はゾンビに埋め尽くされた。なんていい加減な設定なんだと思いながらも、こんな暗い世相だからこそ“笑い”が必要なんだと真剣に考えている若者がいた。彼の名はロジャー、見た目は小柄で冴えないが、射撃の腕は一流のSWAT部隊隊員だ。
ロジャーは学生時代を大阪のミナミで過ごした。アメリカ人なのに身長が日本人よりも小さいロジャーを、友人はよくイジメた。そんなロジャーが唯一心のより所としたのは、毎週芸人達の舞台が観られるナンバ花月であった。ロジャーは次第に芸に目覚めていき、将来はプロの芸人になることを夢見た。そんな折、またもや貿易商を営む父の仕事の都合で、ロジャーはピッツバーグへ移り住むこととなる。そこで就職の時期を迎えたロジャーは「人生、安定が一番よ」という母の言葉を受け入れSWAT部隊(公務員)に入ることになった。だが、ロジャーはまだ芸人への夢をあきらめてはいなかったのだ。
そんな折、ロジャーが所属するSWAT部隊がゾンビで溢れ返るアパートの制圧に乗り出した。気が振れて狂人と化した仲間の隊員に、強烈なツッコミをかますロジャー。だが、オイシイところを長身の黒人SWAT隊員にもっていかれてしまう。その黒人隊員は狂った隊員を射殺したのだ。
自分には才能がないのか……。地下室で落ち込んでいたロジャーの前に、黒人隊員が現れた。
「俺の名はピーター、さっきのツッコミよかったぞ」
初対面のロジャーに気さくに話しかけるピーター。このとき、ロジャーは彼に親しみを覚えるようになった。黒人は話を続けた。
「地獄が満室で、死者の居場所がないのさ」
なんてウィットに富んだヤツなんだ! 彼だ! 俺がコンビを組めるのは彼しかいない! こうして伝説の芸人“ピーター&ロジャー”は結成された。

ロジャーとピーターはアパートの地下室で 運命的な出会いを果たす
ロジャーはピーターを誘い、テレビ局関係の友人であるスティーブン&フランシーンと一緒にヘリに乗り込んだ。目指すはショッピングセンターでの舞台営業だ。お題は“トラック芸”。ゾンビ相手にどれほどウケるかで決勝トーナメントへ進むことが出来る。ロジャーは初めての舞台に大はしゃぎ。「予選なんか楽勝さ」とトラックを運転するが、ささいなミスを連発する。慎重派のピーターは「俺のキャリアもかかってるんだ、真面目にやれ」と注意するが、ロジャーは興奮状態で聞き入れない。ついにロジャーは致命的なミスを犯す。ゾンビに腕と脚を噛まれてしまったのだ。
初舞台は散々だった。怒った観客のゾンビに二度も噛みつかれる始末。「芸人たるもの、観客(ゾンビ)の視点からも芸を磨かないとね」と強がるロジャーであったが、彼のゾンビ化はどんどん進んでいった。
ついに運命のときはやってきた。完全にゾンビとなったロジャーは「今度こんな顔で舞台に出たらウケるかな」と、おぞましい形相でピーターに相談するが、ピーターは「そんなのテレビに耐えられない」とロジャーを射殺する。コンビ解散だ。

観客は世界一ノリが悪いと評判のゾンビ軍団。 果たしてウケるのか!?

初舞台ではしゃぐロジャー。 その後のミスで大変なことに…

売れない時代、一人のファンに 勇気付けられるシーンも
 
「こんなネタどうかな?」と持ちかけるも、黒人のセンスには合わず、 あえなく撃たれる。コンビ解散だ!
ロジャーは死んだものの、何とか予選を通過したピーター。次の決勝トーナメントのネタを考えなければならない。苦肉の策で冗談のあまり通じないヘリ操縦士スティーブンをパートナーにする。
対戦相手は暴走族ルックの喜劇集団“サヴィーニーズ”だ。サヴィーニーズは出だしから好調。ゾンビの顔めがけてパイを投げつける伝統的なパイ芸から、老婆ゾンビが身につけている貴金属を奪う追いはぎコント、ついには食いちぎられた腕を使っての血圧計コントで爆笑を誘う。
これでは付け焼刃の芸しか練習していないピーターとスティーヴンには分が悪い。頭上からサヴィーニーズのメンバーをライフルで狙い、逆転の時期を待つしかなかった。しかも、サヴィーニーズのあまりの活躍に嫉妬したスティーヴンが暴走。昨晩のネタ合わせを無視して単独行動に出た。ピーターは「(サヴィーニーズの)好きにやらせろ」とスティーヴンを静止するが、頭に血が上ったスティーヴンは聞く耳を持たない。案の定、持ちネタもなく単独行動に出たスティーヴンは、ゾンビにウケるどころか怒りを買ってしまい、無残に食い殺されてしまう。
大した芸も披露できずにトボトボと楽屋へ戻るピーター。留守番をしていたフランシーンも残念そうだ。そのころ、ゾンビに魂を売ったスティーヴンは仲間のゾンビの群れに楽屋の場所を教えてしまう。暴徒と化したゾンビは楽屋に押し入り、ピーターとフランシーンを追いつめる。
「俺の事はいいから逃げるんだ!」
ピーターはフランシーンを一人逃がし、自分はこめかみに拳銃を当て、自殺を計る。
ピーターに忍び寄るゾンビの大集団。
そのとき! ひとつのアイデアがピーターの脳裏をよぎった。ピーターは拳銃でゾンビの頭を撃ち抜き、パンチと蹴りでゾンビたちを次々と倒してゆく。ついにゾンビの群れから抜け出し、フランシーンが乗り込んだヘリのところまで追いついた。
ヘリに乗り込んだピーターはフランシーンに囁いた。
「俺と夫婦(めおと)漫才しないか?」

予選通過で一度は賞金を手にするが…

好敵手サヴィーニーズのパイ芸が大ウケ! 決勝トーナメントで敗退してしまう

燃料切れ?それより俺と組まないか?
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